わが国における成人の8割もの人が歯周病であるとされています。日本人が歯を失う最も多い理由は「むし歯」ではなく『歯周病』で全体の42%です(右図参照)。
歯周病は口腔内の細菌が原因で発症する病気です。症状が悪化すると、歯を支える骨が溶けていき、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。また近年の報告によると歯周病が全身疾患に影響を与えることがわかっています。
歯周病予防は全身疾患の予防にもとても大切です。歯周病が進行すると歯肉から歯周病菌や炎症物質などが入り込み、血液とともに全身に回って健康にも悪い影響を与えることがあります。糖尿病、誤嚥性肺炎、心疾患、脳血管疾患、動脈硬化、早産・低出生体重児、骨粗しょう症、肥満などと歯周病との関係がわかっています。一方で、全身疾患により歯周病が発症・悪化しやすくなるケースも報告されています。
歯周病は痛みなど自覚症状を伴わずに進行していきます。初期にはほとんど自覚症状がありません。これが怖いところです。「知らないうちに進行している」ということもよくあります。その後放置してしまうと「歯がグラグラして咬みにくい」などの症状が現れます。そうなると、治療も長期間におよびます。さらに、歯を抜かなければならないケースも出てきます。もし歯ぐきの違和感やブラッシング時の出血など、わずかな症状が気になったら、歯周病のチェックをしておくことが大切です。
次の項目のうち当てはまるものをチェックしてみましょう。当てはまる項目が多ければ多いほど、歯周病になっている可能性があります。
この病気の1番怖いところは、痛みなどを中等度や重度になるまであまり感じないという点です。歯を磨くときに血が出る程度ではあまり危険であるという認識を持たれることが少なく、これが進行してしまう大きな原因です。
まず歯周ポケットの深さを測り、出血や歯肉の腫れなどを確認して歯周病の状態を検査します。多くの方は歯石などが溜まっていて歯周病の進行をさらに早め悪化させてしまいます。
歯周治療を適切に行うためには、現在の歯周病の症状を的確に検査・診断する必要があります。最初に歯周組織検査などを行い、歯肉の炎症と組織破壊の程度を調べます。検査結果をもとに患者様の全身状態なども考慮して治療の計画を立てます。治療の計画を詳しく患者様に説明し同意を得た後、治療を進めます。
※ 検査後に必要のない治療などはスキップします。
歯周病の原因は歯の周りについた細菌性のプラークです。歯石はこのプラークを付着させる要因となります。そのため歯の清掃は全ての方に行う必要があり、基本的な歯周病治療の一つです。専門的には「歯周基本治療」といいます。
歯の清掃にかかる時間は患者さんの状態によって変わります。簡単に終わる場合もあれば、麻酔をして数本の歯ごとにしっかり行わなければいけない場合もあります。また歯の清掃だけでなく、かみ合わせ、歯ぎしりや喫煙、全身状態について確認します。これらは歯周病の増悪因子といって、歯周病の進行を加速させてしまいます。この増悪因子もできるだけ減らしていくことが望ましいです。
歯周基本治療の一つにクリニックで行う「プロフェッショナルケア」と毎日のブラッシングなどの「セルフケア」とが挙げられます。患者さんご自身によるセルフケアが歯周基本治療の中で最も大切なことの一つです。セルフケアの状態よって治療結果も大きく異なってきます。歯ブラシを適切にご使用いただくことはもちろん、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助器具を合わせてお使いいただくようお伝えしています。
患者様ごとにお口の状態もライフスタイルも様々です。歯科衛生士はスケーリングなどのプロフェッショナルケアだけでなく、ブラッシング指導などを通じて患者さまごとに適したセルフケアをサポートします。クレスト歯科クリニック戸越では歯科医師と歯科衛生士とが連携し歯周病治療を進めていきます。
治療においてはまずは上記の基本的な治療をすべての患者さんに行います。そのうえで、さらなる改善を目指し歯周病の外科治療を行うことがあります。外科治療というとハードルが高く感じられるかもしれません。われわれ歯科医師としては、わりとありふれた治療法です。方法としては歯肉を切開して歯根を露出させ、歯周ポケットの中に隠れていたプラークや歯石を徹底的に除去することです。局所麻酔で行えますので、そのあとの激しい運動を控えていただければオフィスでの仕事などには問題ありません。
この歯周外科治療に際し、まずは担当歯科医師がご説明いたします。
これまでの多くの研究から、歯科医院でメインテナンスを受けているとより歯を残すことができるという結果が得られています。クレスト歯科クリニック戸越では、ご自分の歯をできるだけ長く残し、健康な食生活を続けていただけるようサポートいたします。メインテナンスは3〜6か月を目安にご来院ください。これは歯周病の程度にもよりますので、担当の歯科医師が治療が終わった後に個別にご案内いたします。